クローン病患者がショッピングモールに行ってみた
前回のあらすじ
人には弱い言葉や環境があると言う事を書いた。
今回は父の日間近と言うことでショッピングモールに行った時の事について書きたい。
今まではそれ程大きくないお店で買い物をしていたので入店前チェックを受けた事が無かったが、さすがにショッピングモールと言うこともあり入店前するのにいくつかの関門があった。
まず、出入口に戸惑った。
1つの自動ドアに「入口」「出口」と書かれており、中央分離帯も設けられていた。
自分の歩いてきた方向からすると出口の方が近かったので出口に入りそうになってしまった。
すれ違いの人が怪訝そうに見て来たので気が付いたので急いで逆戻りして入口から入りなおした。
ちゃんと入口から入店しようとすると警備員らしき人が「いらっしゃいませ」と言ってきたので、会釈をしながら警備員の方を見たが、警備員はこちらを見ていない。
いや、顔はこちらを向いているが自分は視界に入っていない。
「なんだこいつ」と思いながら後ろを振り返ると、大きなモニターがあり、自分のサーモグラフィ画像が映し出されていた。
「あ~、よくテレビで見る奴だ」と思いながら自分を見ると青かった。
手指除菌液で手を揉み揉みして入店です。
父へのプレゼントは見て決めようと思っていたので、何にするかも決めていない。
ショッピングモールの本体の所をぐるっと回ったが、「これっ」って言う物が無かった。
専門店街の方に足を向けると本来なら間口が広く通路に面している所ならどこでも入店出来ていたが、今回は様子が違う。
カラーコーンとコーンバーで入店出来ないようになっている。
まるで、工事現場の立入禁止か歩道の区切りのようだ。
カラーコーンが終わった所から入店するのだが、ここでも入口と出口が分かれている。
入口はソーシャルディスタンスを保ちながら行列になっている。
入口には店員らしき人が体温計をお客一人一人当てている。
ここでも関所が設けられている。
これからはこうなんだなと思いながら寂しいなと思いながら、入店に5分位かかった。
入店した時には購入意欲は完全に削げられていたので2,3分で退店した。
なんか疲れたなと待合所に向かった。
そこは半円のソファーになっていた。
等間隔でパウチっこされた注意喚起が貼られて座れないようになっている。
一つのソファーをおじいちゃんとおばあちゃんとお父さんと子供が陣取っていたが、距離を置いて大声で会話をしていた。
なんとも滑稽な風景に感じた。
家族がここでソーシャルディスタンスを取ってどうするんだろう?
お母さんが戻って来たら密になって移動するのだろう。
帰りは一台の車に乗り込むのだろう。
帰ったらみんなで晩御飯を食べるのだろう。
家族に対してのソーシャルディスタンスに意味があるのだろうか?
恋人同士もソーシャルディスタンスは必要だろうか?
なんて事を考えてしまった。
人はたくさんいて賑わっていた感じがしたけど、冷めた感じになったのは自分だけだろうか?
人がたくさんいるのに孤独感を感じる。
もっと言えば、仲間の中にいても孤独を感じる世界になっていくのだろうか?
肉体的にも精神的にも孤独になるのはどうなのだろう?
忖度が無くなるかな?
自己主張が強くなるかな?
和が無くなり、個が大切な世界になるかな?
人はここでも進化してくのだろうか?
次のテーマとタイトルは未定・・・次回に続く